貸切バス事業の許可を取得した際、その許可書に様々な条件が記載されています。
その中でも一部の項目については事業運営に大きな制限をかけているものがあり、事業を行っていくうえでその条件を外したい、と考えられる事業者の方もいらっしゃるかと思います。
ここではそんな貸切バス事業の許可に付された条件と、その解除方法について簡単に説明していきたいと思います。
許可に付された条件の代表例
「一般貸切旅客自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請等の審査基準について」という許可基準を定めた公示において、以下のようなものが条件として挙げられています。
許可基準1.(4)車両数
① 最低車両数営業所を要する営業区域毎に3両。ただし、大型車を使用する場合は、営業所を要する営業区域毎に5両。なお、車両数が3両以上5両未満での申請の場合は、許可に際して中型車、小型車及びコミューター車を使用しての輸送に限定する旨の条件を付すこととする。
許可基準1.(14) 許可等に付す条件等
① 離島での輸送、会葬者の輸送、車椅子での乗降装置及び車椅子固定設備等特殊な装備を施した車両を用いた輸送、法第21条第2号に基づく許可を受けて乗合運送を行うことを内容とする輸送等の特殊な申請については、その内容に応じ、それぞれの特性を踏まえて弾力的に判断することとし、許可に際しては、必要に応じ業務の範囲を当該輸送に限定する旨の条件等を付すこととする。
② 運輸開始までに社会保険等加入義務者が社会保険等に加入する旨の条件を付すこととする。
③ 許可に際しては、営業所に常時設置され、インターネットに接続されたパソコンを全ての営業所に設置するとともに、当該パソコンに制度改正等に関する情報等を配信するためのメールアドレス(メールアドレスを変更した場合は変更後のメールアドレス)を運輸局等に対して通知する旨の条件を付すこととする。
これらのうち、最低車両数の条件と輸送できる旅客の範囲の条件に関しては許可後も影響が続くものです(他の条件も維持しなければいけない点では共通しますが)。これらの条件を解除したい場合に行う必要があるのが、「条件解除願い」です。
条件解除願い様式例(Wordファイル)
この条件解除願いを行うことで、大型車を導入したり、葬儀や車いす限定条件を外して一般の旅客の輸送を行ったりすることができるようになります。
車両数の条件や輸送できる旅客の範囲に関して制限されている場合というのは、「通常の基準では許可は認められないけど、例外的にその条件を付与した場合には許可を認められる」という状態であることとなります。
であれば、その通常の基準で許可を認められるように事業計画等を変更すれば条件を解除できるということになります。
条件解除の場合に求められる要件を簡単にまとめますと、以下の通りになります。
大型車を導入したい場合には、大型車を含めて車両が5両以上になるように事業計画の変更を行うこと。
葬儀限定等、輸送できる旅客の範囲の制限を解除したい場合には、最低車両数の条件を満たしつつ(営業区域ごと、大型車導入の場合は5両以上、中小型限定の場合は3両以上の保有が必要)、運行管理者を1営業所あたり2名以上選任すること。
申請時には添付書類を色々と求められる場合があります。申請する事業者の状況に応じて変わりますので、詳しくは申請を提出する運輸支局の輸送部門にご相談ください。